Gと平和条約を締結した

とある日のできごと。

そう、Gに遭遇したあの日。

えらくバイトが長引いて、家にたどり着いたのは日付が変わる30分ほど前。

ドアを開けると、艶のある黒いスーツをまとった”やつ”が玄関でお出迎えしてくれた。

ように見えた。

外に出てくれないかと玄関の電気をつけてみたが、臆病な彼は奥へ奥へと暗闇の方に進んでいってしまった。

それをみた私は、

疲れてるけど、決闘するしかないか。(決闘=新聞紙でつぶす)

そう決心した。

数年前まで虫は大の苦手だったが、最近はある程度の戦闘力を身に付けているから勝利を収めることは難しいことではない。

(というのも、以前住んでた下宿時代に裏庭が山になっているせいで大きなG、大きなクモさん、ゲジさん、ムカDの襲撃をたびたび経験してきたからだ。)

部屋の奥へと進み、紙を準備した。

僕はGちゃんを観察した。

どうしても振りかぶるのには気持ちの整理が必要だから。

Gちゃんは触覚で必死に周囲を確かめて状況を確認している。

あー、Gちゃんも僕と同じように必死に、生きているんだ。

仲間だ。

って初めて気が付いた。

でもここは僕の家だからそうはいっても叩かないといかんな。

夜寝てるときに這いつくばられたらいやだしなぁ。

潰しにかかったが、

じゅうたんや壁が汚れないように、

あまり残酷なことはしないように、

出来たらつまんで自然に返してやりたいと思って、

包み込むように攻めたせいか

逃げられてしまった。

くそー。

追いかけまわしたんだけど、本棚の後ろに逃げられた。

もっと攻勢はかけられるけど、どうしよっか。

そのとき頭の中に思い浮かんでいたのは最初に見たGちゃんの必死な姿。

やっぱ潰す必要はないんじゃないか?

Gちゃんってすみっこが好きだし臆病。

Gちゃんて人間がGに会いたくないとおもっている以上に

人間に会いたくないんじゃないかな。

Gちゃんが自分の家に入ってきたとおもってたけど、よくよく考えたらGちゃんはここが誰かの家だなんてそんなことわかんないよね。

勝手に人間が自分の場所って決めてるだけだし。

勝手に自分の場所って決めてる上に勝手に入ってきたやつは潰すとかちょっと傲慢やなぁ。

これを言い出すとなんもできなくなってしまうがね。

とりあえず今日のところは終戦としよう。

おわり

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